招待講演

招待講師・講演内容(講演順)

大久保 友雅(東京工科大学 工学部機械工学科 准教授 )

レーザーを用いた次世代航空機エンジン材料の加熱試験装置の開発
次世代航空機エンジンの材料として期待されている SiC/SiC CMC をレーザー に より加熱し,その性能評価を行うための試験方法及びその装置の開発について紹 介します.SiC/SiC CMC は高耐熱で軽量であるため,次世代の航空機エンジンの 材料として期待されています.しかし,従来の合金のような過加熱や過負荷によ る加速試験が出来ないため,高温時の信頼性の確認が困難です.そこで現在我々 は,航空機エンジン内部で生成される水蒸気への吸収の少ないファイバレーザー を加熱源として用い,更に温度変化に対して能動的に塗り絵のように加熱するた めにガルバノスキャナを用いることにより,試験片の加熱部を所望の温度分布に 加熱する “Selective Laser Thermoregulation 法” と名付けた手法及び装置の 開発を行っています.この手法により,試験片の急加熱,急冷却を繰り返すこと により,新しい加速試験を実現することを目指しています.

舟田 義則(石川県工業試験場機械金属部3Dものづくり推進PJ室長)

レーザー加熱を応用した接合技術について
レーザ光を照射して対象物を加熱するレーザ加熱の特徴を解説しながら,レーザ光出力やレーザ集光径などが加熱状態に与える影響などを説明します。また、薄板の精密溶接や高精度部材のろう付などレーザ加熱を応用した接合技術を事例を交えながら紹介するとともに、他の熱源による接合と比較しての特徴を解説します。さらに、レーザ加熱を応用した接合技術の発展としてレーザ肉盛技術を紹介します。これは、革新的製造技術として期待されている三次元積層造形に利用可能な技術としても注目されており、その基本的プロセスを説明します。そして、具体的事例を交えながらその特徴や活用方法を紹介します。

北島 将太朗(大阪大学 レーザー科学研究所 特任助教)

高出力パルスレーザーの基礎と最新動向
短い時間幅で強い光を出すパルスレーザーは,レーザー光の大きな利点である「エネルギーの極小領域への集中」を時間軸でも実現した光源であり,その特徴を生かし今日までに様々な応用に用いられている.中でもレーザーの縦モード間の位相を揃える技術,モード同期を用いたレーザーはps(10-12秒)~fs(10-15秒)程と極限まで短いパルス幅を実現できる.これらは超短パルスレーザーと呼ばれ,その短いパルス幅と高いピーク出力を活かし,微細加工や非線形分光,基礎物理学分野などでこれまで難しかった応用を可能にする手段として幅広く利用されている.更に薄ディスクレーザーやファイバーレーザーをといった高効率冷却型の利得媒質形状と組み合わせることで,高い平均出力も実現可能となっている.本講演では,これら固体レーザーと超短パルスレーザーの基礎について解説を行い,その後に最新の研究動向を紹介する.

吉岡 宏晃(九州大学 システム情報科学研究院 情報エレクトロニクス部門 助教)

プリンタブル有機微小光共振器の最新動向
微小光共振器は、マイクロメートルオーダーの直径を有する円形の光共振器であり、スフィア、リング、ディスクなど様々な形状がある。この微小光共振器は、Whispering Gallery Mode (WGM)という円形の縁に沿って伝搬する特殊な伝搬モードを形成して高い光閉じ込め効果を示すため、高感度バイオセンシング、光周波数コム、低しきい値マイクロレーザーなど様々な応用が期待できる。本講演では、従来半導体プロセスと同様の手法で作製されてきた微小光共振器(特にディスク形状の微小光共振器)を、印刷技法で作製できる我々独自のインクジェット印刷法について、その最新の研究動向について紹介する。

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